包丁の歴史を分かりやすく紹介します
包丁の始まりと言えば縄文時代までさかのぼりますが鋼でなく包丁の役割をしていたのは石器ですね、鋼は弥生時代から使われています。
寿司の歴史でも語りましたが、食文化は安土桃山時代から激変していますその理由は南蛮貿易が盛んに行われた為です。包丁自体は平安時代に使われていたという文献もありますが、現代の和包丁のような鋭い切れ味を持つ包丁が生まれたのはこの時代です。
貿易が盛んに行われていた大阪の堺では、タバコの葉が輸入されており、当時はキセルの中にタバコの葉を、刻んで入れる為に切れ味の良い包丁が職人により作られました。また、大衆食堂が数多く出店され現代の和包丁が生まれました。
基本的な和包丁
出刃包丁 魚をさばく用
菜切り包丁 野菜を切る用
柳刃包丁 刺身用
切る材料によって包丁が変わるのも和包丁の特長ですが、洋包丁・中華包丁との大きな違いはその切れ味にあります。
和包丁は切れ味をとことん追求された日本刀の技術を受け継ぐ為、研ぎ澄まされた和包丁は細胞レベルで切り分ける事が出来ます。
包丁は基本的に2種の鉄を合わせて作ります、鋼と軟鉄ですね。
鋼と軟鉄を合わせ作った包丁を霞包丁と呼びます。
食材は鋼の部分で切りますが、鋼は長期間経つと曲がってきますがそれを軟鉄でいつまでも曲がらないように補います。
分かりにくいですが、上の包丁で言えば刃先のところで色が変わってますよね、この包丁が霞です。
柄が黒檀の包丁は本焼き包丁と呼びオール鋼の包丁です。本焼きはこの後に説明させて頂くが
話は戻り、南蛮貿易で鉄砲が多く輸入され、また江戸時代に入り戦いの無い世の中になっていくにつれて日本刀の需要はますますなくなり、本格的に包丁作りが盛んになっていきます。この頃から様々な包丁が生まれます。
式包丁と呼び、テレビ等で見た事があると思いますが、祝い事の時に包丁とまな箸だけで鯛を裁く包丁です。私も練習しようと思い購入しましたが、現在ハモの骨切り包丁として使っています。
更に明治に入りほぼ現在の包丁は出そろいます。例えば出刃包丁一つとっても、大出刃・小出刃・相出刃と色々あり、特殊な包丁で言えばウナギ裂、貝裂、寿司切りなどなど洋包丁や中華包丁に比べて和包丁は1番種類が多いです。
包丁の花形といえば柳刃包丁ですがその中でも本焼き包丁が扱いも難しいですが切れ味もよく最高峰の包丁です。包丁切れ味は鋼の硬度が関係しており、同じ本焼きでも硬度を高める為の工程として油焼入というのがありますが、こちらは比較的安値で取引されています。
硬度をより高める技として油焼入と違い水焼きという工程があります。この水焼き本焼きができる鍛冶師は日本に数人しかおらず、職人なら知っている方も多いですが福岡の唐津に玄海正国という鍛冶屋があり包丁メーカーは違えど、作っているのは玄海正国というところが多いですね。
私も職人としてどうしても使いたく、写真の黒檀包丁は玄海正国の包丁です。
昭和になると職人だけでなく各家庭でも包丁を揃えるようになりますが、家庭では食材によって包丁を使い分けるのは面倒くさく、万能包丁として三徳包丁が生まれます。
その中で職人の持つ包丁でも切りつけ柳刃包丁が普及します。この包丁は刺身を切れる薄さと野菜を剥き刻める幅広さを持つ包丁です。
時代に合わせ今後も色々な包丁が現れるかもしれませんね!
こちらの切りつけ柳刃包丁は、堺の鍛冶師で水焼き本焼きを作れる土井敬次郎さんが数年前に引退され、その前に仕上げた20本の1つです。